(記:佐藤 伸)
今、歴史的な円高ドル安が続いている。1ドル76円なんて数年前には考えられなかったことだ。日本の物が売れない、景気が良くならないとネガティブなニュースばかりが世間を覆う毎日ですが、学生の日々の生活にはそれほど大きな影響はないと思う。
むしろ学生の皆さんにとっては、時間に余裕のある今こそ海外に出かけ、異文化に触れる大きなチャンスだ。
今の学生は内向き思考だと言われる。
確かに本学の学生を見てもその通りだと思う。内向きじゃだめなんですかと言われると、世の中これほど趣味や価 値観が多様化する現在においては、それも一つのオプションかなと考えるとそれもありだと思う。だから教員が海外に出なさいと言ったところであまり意味のな さないことで、押し付けがましく言うことでもないかと前ほど学生に言わないようにしている。
海外に出ると自分の英語の未熟さを実感したりするが、現実には英語を話せないと就職が見つからない訳ではないし、言ってしまえば明日のご飯に困ることもな い。日本はそれだけ豊かな国になったと考えることもできる。しかし一方ではこれからの世界の中の日本を担っていく学生の将来へのモチベーションに物足りな さを感じてもいる。
僕が初めて海外に出たのは10年以上前の大学院2年生の頃だから、人よりも海外デビューは遅いくらいだ。
初めての海外の行先はフィンランドだった。当時は英語が思うように話せなかったし、指導教員の後ろをついて周るような状況で、自信を持って旅行できたとは 言い難い。しかしながらこの旅行をきっかけに、将来は海外を股にかけた仕事に就きたいというわくわくした思いが強くなったし、その後幸運にも2年間の海外 生活を経験できた。
コミュニケーションには決して完璧な英語(ノンネイティブにとってはどれだけ頑張ってもほぼ不可能であるが)は必要としないこと、むしろ下手な英語でも会話のキャッチボールを成立させるように話しかける方が大切であることを海外に出て感じた。
「以心伝心」、「言わなくてもわかる」は日本人の美しい感覚ではあるけれど、文化、習慣の異なる海外では話さないと何も伝わらないことを肌で感じる。
この原稿を書いている今、楽天トラベルから届いたメールの情報では羽田発、ニューヨーク往復22,000円だそうです。
国内旅行よりも安く行ける今のうちに海外に行かない手はありません。異国での体験は自分を成長させ、人生を豊かにします。そしてなにより、大学で知り合った友達と格安航空券で貧乏旅行しながら世界中を回ることこそが学生時代の良い思い出となることを僕は確約します。
学生の皆さん、臆することなく今こそ海外に出かけよう。そして異文化に触れよう。
カンボジアの首都プノンペン市内の王宮
2011年3月に行ったカンボジアの首都プノンペン市内の王宮。プノンペンは東洋のパリと言われているだけあって、市内の建物が派手で煌びやかなのが印象的だった。次回訪れる時にはもう少しじっくり見てみたいと思う。