(記:木俣 信行)
地球が誕生してから四十数億年、地球上に酸素発生型ラン藻類が生まれてから35億年、海で生まれた生命が陸上に進出してから4億5千万年、ユーラシア大陸から離れて今日の日本のある弧状列島が形成されてから1700万年、人類の祖先が出現してから500万年、そして今日の人類の祖先が生まれてから20万年、私たちの暮す地球には長い永い歴史が刻まれてきました。そして今人類は、科学技術を発展させ、人類文明の歴史に終止符を打つ可能性が伺えるまでに、膨大な資源・エネルギを費やす産業と生活を膨らませ続けています。
世界で発生する自然災害の統計は、地球温暖化とともに増加を続けており、その増加率は年率12%になると言われます。この数十年の世界の総生産量の増加は 年率4%ですから、このまま進めば自然災害の被害額は総生産額を超えるのは時間の問題です。その結果人類は、自らの所作を制御出来ずに自らを滅ぼす生物と して、地球の歴史に名を残すことになるのでしょう。
しかし、誰が破局を望んでいるのでしょうか。
人類が、これまで得られた科学技術の成果を、もっぱら自らの欲望を満たすためにだけ使うのではなく、人々が、充実し満足度の高い生活が得られ、幸福な生活 を送ることが出来るように地球の持つ許容量を活かして使ってゆけば、地球環境はそれに応えてくれるものと考えられます。
人間が自らの所作を律するための知恵は、これまで様々に蓄積されてきました。宗教は、人類史の中でも人々の行動を律するものとして実績を積み重ねてきまし た。科学技術の知識が人々の共感を得るようになった現代では、環境マネジメントの考え方、手法が人々の活動を律し、サステイナブルな社会を構築することが 期待されています。
私たちが目指すべきサステイナブルな社会とはどのようなものかを描き、地球の限界をよく認識した上で、サステイナブルな社会の実現に向って、蓄積されてきた科学技術の知識や知恵を如何に活かしてゆくか、環境マネジメントによる活動の可能性が問われています。