(記:浅川 滋男)
因幡国の民は死後いったん霊魂が摩尼山摩尼寺に滞留したのち極楽に昇天する と古くから信じられてきました。鳥取県内では大山寺、三徳山と並ぶ天台宗の拠点です。2009年、山頂から約60m下った平場で、研究室の学生が摩尼寺 「奥の院」遺跡を発見しました。平安時代から江戸時代初期まで山上にあった伽藍の廃墟に一同仰天し、以来、研究室の主要なフィールドになっていきます。お もな活動を年表で示しておきましょう。
2009年 遺跡の地形測量
2010年 摩尼寺「奥の院」遺跡の発掘調査
2011年 遺物・土壌等の環境考古学的分析と遺構復元
2012年 「奥の院」と登山路の整備、ルートマップの作成
2013年~ 山麓境内建造物の調査
そして、2014年7月、摩尼寺の本堂・鐘楼・山門が国の登録有形文化財に答申されることが決まりました。6年間の調査研究がようやく一つの実を 結んだことをとても喜んでいます。本堂等の登録文化財答申を受け、門前茶屋・覚寺集落等の有志によって「摩尼寺保存会」がこの夏に結成されました。まもな く保存会は登録文化財答申記念のイベントを下記のとおり開催することを決めたのです。今回のイベントの目玉は、なんといっても境内コンサートでしょう。鳥 取県唯一の南米音楽グループ「トリ・アンデス」と鳥取市出身のプロのビオラ奏者、棚橋恭子さんが紅葉の境内で清澄な音楽を奏でてくださいます。
そのほかトレッキングやトークセッションもあります。詳細はアップロードしたチラシをご参照ください。参加ご希望の場合は、チラシ裏面の申込書にご記入の上、FAX、e-mailもしくは郵送で事務局までご返送ください。
【イベント名】摩尼寺本堂・鐘楼・山門国登録有形文化財答申記念
摩尼寺紅葉トークセッション&コンサー2014「思い出の摩尼」
【 日 程 】 平成26年11月29日(土)10:00~15:00
【 次 第 】10:00~摩尼寺「奥の院」遺跡トレッキング(限定30名)
12:00~昼食
12:50~トークセッション
14:00~境内コンサート
【 その他 】 入場無料
鳥取駅~摩尼寺門前の往復バス1便(先着50名予約制、500円)
摩尼寺門前駐車場(先着60台利用可能)
身障者・高齢者の方は車で門前より境内まで送迎いたします。
【 事務局 】鳥取環境大学保存修復スタジオ
℡&FAX 0857-38-6775 e-mail: hozonshufuk@kankyo-u.ac.jp
〒689-1111 鳥取市若葉台北1-1-1
今後は境内最古の建造物でありながら傷みの激しい庫裏の文化財指定、また「奥の院」および山頂巨巌域の登録記念物申請に取り組んでいきます。最終 的には、三朝町の三徳山三仏寺をモデルとして、摩尼山全域の「史跡名勝」指定をめざしています。そして、鳥取砂丘に隣接することから山陰海岸国立公園への 編入も視野に納めています。
今回のイベントはこれまでの活動の記念碑であると同時に、よりスケールの大きな環境と文化の保護に向けてのスタートラインと位置づけています。
多数のご来場をお待ち申し上げます。(浅川 滋男)