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新年と野生生物
リレーエッセイ
2011年 1月 14日(金曜日) 22:58
(記:小林 朋道

新年、明けましておめでとうございます。皆様の、実り多き、幸多き一年をお祈りします。

今年は、鳥取環境大学が公立大学に向けて大きく前進する年です。公立鳥取環境大学では環境マネジメント学科は、環境学部という、一回り大きくなった姿で皆さんとお会いすることになると思います。今後とも鳥取環境大学の活動を見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
さて、今回は、新年のコラムでもありますし、それにちなんだお話をさせていただこうかなと思います。・・・とは言いましても、できれば、なにか私の大好きな野生生物の話がしたいという気持ちもありまして・・・新年と野生動物・・・・、トトノイマシタ!じゃなかった、オモイツキマシタ!今年の干支のウサギの話をさせていただきます。

昨年の冬の終わり(三月)のことでした。

大学に出勤して、車を駐車場に止めて車から出ようとしたそのときでした。駐車場に面する林のなかで、なにか白いものがさっと動くのに私は気づきました。確か、教授会か何かの会議の時間が迫っていたときだった思いますが、そんなものを見てしまった私にとって、もう選択の余地はありません。私は、車を降りてゆっくりと林のほうへ歩いていきました。すると何と、林の茂みの中に、ノウサギがうずくまっているではありませんか。ノウサギはおそらく隠れたつもりになっていたのでしょうが、日ごろのフィールドワークで鍛え上げられた私の五感から逃れることはまず無理です。私の目は、茂みの眺めの中から、鮮明にノウサギの姿を切り取っていました。


ノウサギの様子には幾つかの点で興味深い点が認められました。
その一つは、毛の色です。冬も終わりの時期ですから、冬毛から夏毛への毛換わりが起こっていたのです。毛換わりは頭から下方へと進んでいるらしく(おそらく、脳下垂体あたりで生産された毛換えに関わるホルモンが、まず頭部の皮膚に作用し、それから順次下方へと移っていくのでしょう)、頭部だけが茶色で、首から下は、冬毛のまま、つまり、白色だったのです。

それを見て、優しい私はノウサギに向かって声をかけてやったのです。「ははーん。キミはちょっと季節の移り変わりに遅れているね。もうこの辺りは全部茶色の世界だよ。毛換え、急いだほうがいいよ」と。(ちなみに、声をかけるたというのは本当のことです。私は哺乳類に限らず、魚でも昆虫でも、大抵の動物に声をかけることが多いいのです。いつごろか、そんなふうな体質になってしまったのです。病気かもしれません)
ところがです。それから一週間ほどして私は野生生物の偉大さを痛感させられることになったのです。何と、その年最後の雪が降ったのです。しっかりとした降雪で、ノウサギと出合った林の中も雪がまだらに残り、私はノウサギへの言葉を取り消さなければならなくなりました。「まだ白い毛を残しておかなければならなかったんだね。参りました。私のほうが浅はかでした」と心のなかでノウサギに謝ったのです。
今年はウサギの年です。また、冬の終わりのころ、あのノウサギに会えたら最高です。